この記事でわかること
- 食事補助の非課税要件と2026年度改正の最新情報
- 非課税で食事補助を提供する3つの方法
- 経費計上の具体的な処理方法
- 乾燥野菜を活用した食事補助の実践例
食事補助の税制優遇が注目される理由
「従業員に食事補助を出したいけど、税金はどうなるの?」——総務・人事担当者から最も多く寄せられる質問のひとつです。
食事補助は、やり方を間違えると従業員の給与課税の対象になってしまいます。でも、正しく制度設計すれば非課税で提供できて、企業側も福利厚生費として経費計上が可能です。
しかも、2026年度の税制改正で非課税枠が大幅に拡大する方針が閣議決定されました。食事補助制度の導入・見直しを検討するなら、まさに今がベストタイミングです。
2026年度税制改正のポイント|42年ぶりの大改正
令和8年度税制改正大綱で、食事補助に関する大きな改正が盛り込まれました。
改正の概要
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 非課税限度額 | 月額3,500円 | 月額7,500円 |
| 深夜勤務の食事現物支給 | 1食300円以下 | 1食650円以下 |
| 据え置き期間 | 1984年以来42年間 | 2026年度〜改定 |
これは1984年以来、42年ぶりの引き上げです。背景には近年の物価高騰があり、政府は食事補助を「実質的な賃上げ手段」として位置づけています。
施行は2026年4月が見込まれていますが、正式な時期は国会審議で確定します。
企業にとっての具体的なメリット
非課税枠の拡大で何が変わるのか、具体的な数字で見てみましょう。
| ケース | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 企業負担上限/人/月 | 1,750円 | 3,750円 |
| 50人企業の年間福利厚生費上限 | 105万円 | 225万円 |
つまり、1人あたり月3,750円まで企業が負担しても給与課税されないわけです。置き型社食や乾燥野菜の設置費用を福利厚生費として計上しやすくなりますよ。
非課税で食事補助を提供する3つの要件
食事補助を非課税にするには、所得税法の通達で定められた要件を満たす必要があります。
要件1: 従業員が食事価額の半分以上を負担
企業が全額負担するのではなく、従業員が食事の価額の50%以上を自己負担することが条件です。
例えば、1食200円の乾燥野菜セットを従業員に提供する場合、従業員が100円以上を自己負担すれば、企業負担分は非課税になります。
要件2: 企業負担が月額限度額以内
企業が負担する金額が、非課税限度額(改正後は月7,500円)以内であること。これを超えた分は給与として課税対象になります。
要件3: 現物支給であること
原則として食事の現物支給が必要です。現金で食事手当を支給すると、金額にかかわらず全額が課税対象になるので要注意。
ただし、食事チケットや電子マネーによる食事提供は、一定の要件を満たせば現物支給として認められるケースもあります。
| 方法 | 非課税の可否 | 備考 |
|---|---|---|
| 社員食堂・仕出し弁当 | ○ | 最も一般的な方法 |
| 置き型社食サービス | ○ | 現物支給に該当 |
| 乾燥野菜・健康食品の設置 | ○ | 現物支給に該当 |
| 食事チケット(紙・電子) | △ | 要件を満たせば可 |
| 現金の食事手当 | × | 全額課税対象 |
食事補助の経費計上方法
福利厚生費として経費計上するためのポイントをまとめます。
福利厚生費で処理できる条件
- 全従業員が利用できる制度であること(一部の役員だけはNG)
- 社内規程(福利厚生規程)に明記していること
- 利用実績の記録を残していること
仕訳例
乾燥野菜を月3万円分仕入れて、従業員が1品50円で購入する場合:
| 勘定科目 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 福利厚生費 | 15,000円 | — |
| 現金 | — | 15,000円 |
| 仕入(食品) | 30,000円 | — |
| 買掛金 | — | 30,000円 |
※ 従業員の自己負担分(15,000円)は雑収入で処理
注意点
正直に言うと、食事補助の税務処理は細かいルールが多いため、初回の制度設計は税理士に相談するのが安心です。特に非課税要件の判定は個別の事情で変わるため、自己判断だけで進めるのはリスクがあります。
乾燥野菜を活用した食事補助の実践パターン
非課税要件を満たしながら、低コストで食事補助を提供するパターンをご紹介します。
パターンA: 乾燥野菜の設置型
- 棚やラックに乾燥野菜・スープを陳列
- 従業員は1品50〜100円で購入
- 企業は仕入れ原価との差額を福利厚生費で処理
- 月1〜3万円から開始可能
パターンB: 食事補助チケット型
- 月額上限を設定した食事チケットを配布
- 近隣の飲食店や宅配弁当で利用
- 企業負担は月3,750円/人まで非課税
パターンC: 併用型(設置+チケット)
- オフィスに乾燥野菜を常備(基本の野菜補給)
- ランチ用に食事チケットも併用
- 健康経営の申請にも複数施策として記載できる
よくある質問
Q1: 食事手当を現金で支給したら非課税になりませんか?
なりません。現金支給の食事手当は、金額にかかわらず全額が給与課税の対象です。非課税にするには、食事の現物支給が原則です。食事チケットなど、条件を満たした形態を選びましょう。
Q2: パートやアルバイトにも食事補助を出せますか?
出せます。福利厚生費として処理するには「全従業員が利用できる」ことが要件なので、むしろパート・アルバイトを対象外にすると福利厚生費として認められないリスクがあります。
Q3: 残業時の食事提供は非課税になりますか?
残業や宿日直の際に提供する食事は、一定の条件下で非課税になります。深夜勤務者への食事支給は、改正後は1食650円以下まで非課税枠が拡大する見込みです。
Q4: 食事補助の非課税限度額7,500円は1人あたりですか?
はい、1人あたり月額7,500円が限度額です。企業が負担する金額がこの範囲内で、従業員が食事価額の半分以上を自己負担していれば非課税となります。
Q5: 食事補助制度を導入するには就業規則の変更が必要ですか?
福利厚生規程への記載は必要ですが、就業規則の変更までは不要なケースが多いです。ただし、制度の根拠を明確にしておくことで、税務調査時のリスクを減らせます。導入前に社労士へ相談することをおすすめします。
