この記事でわかること
- 内閣府推奨に基づく従業員1人あたりの備蓄必要量
- 品目別の選定基準と必要数量の計算方法
- 見落とされがちな「野菜」備蓄の考え方
- すぐ使える備蓄チェックリスト
防災備蓄の基本ルール
内閣府(防災担当)のガイドラインでは、企業に対して従業員1人あたり最低3日分の備蓄を推奨しています。
首都直下地震対策大綱では、発災後3日間は救助・救出活動が最優先とされるため、その間は外部からの支援に頼れない前提で備える必要があります。
3日分の基本数量
| 品目 | 1人1日分 | 3日分 |
|---|---|---|
| 飲料水 | 3L | 9L |
| 主食 | 3食 | 9食 |
| 毛布 | — | 1枚 |
これに加えて、簡易トイレ、救急用品、懐中電灯なども必要です。
品目別 備蓄リストと選定基準
飲料水
- 必要量: 1人1日3L × 3日分 = 9L
- 500mlペットボトルなら18本、2Lなら4.5本
- 賞味期限: 一般的に2年。長期保存水なら5〜7年
- 選定ポイント: 保存場所のスペースを考慮。重量があるので、棚の下段に保管
主食(エネルギー源)
| 品目 | 1食あたりコスト | 賞味期限 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| アルファ米 | 約300円 | 5年 | お湯or水で調理。味のバリエーション豊富 |
| 乾パン | 約150円 | 5年 | そのまま食べられる。ただし食べにくい |
| 缶詰パン | 約350円 | 3〜5年 | そのまま食べられる。やわらかい |
| クラッカー | 約100円 | 3年 | 軽量・安価。腹持ちはやや悪い |
おすすめはアルファ米をメインに、缶詰パンをサブで用意するバランス。全部同じだと飽きてストレスになります。
たんぱく質源
- 缶詰(ツナ・サバ・焼き鳥等): 1人あたり3〜6缶
- レトルト食品: カレー・シチュー等
- 選定ポイント: 缶切り不要のプルトップ缶を選ぶ
野菜・ビタミン源 ★見落とし注意
ここが多くの企業で完全に抜け落ちているカテゴリーです。
| 品目 | 必要量(3日分) | 賞味期限 | メリット |
|---|---|---|---|
| 乾燥野菜 | 6〜9袋/人 | 6か月〜1年 | 軽量・コンパクト。お湯で戻すだけ |
| 野菜ジュース | 3〜6本/人 | 約1年 | そのまま飲める。ただし重い |
| フリーズドライスープ | 3〜6食/人 | 1〜3年 | 野菜入りスープが手軽に |
率直に言って、乾燥野菜がコスト・スペース・栄養のバランスで最もおすすめです。1袋20〜30gと軽く、ダンボール1箱で50人分をカバーできます。
調理・生活用品
| 品目 | 必要量 | 備考 |
|---|---|---|
| カセットコンロ | 2〜3台 | ガスボンベも3日分 |
| 紙皿・割り箸 | 人数×9セット | 水が使えない前提 |
| ラップ | 3本 | 皿に敷いて洗い物削減 |
| 簡易トイレ | 人数×15回分 | 1人1日5回想定 |
| 毛布・ブランケット | 人数分 | アルミブランケットでも可 |
| 懐中電灯 | フロアに2〜3個 | 電池の期限切れに注意 |
| ラジオ | 1台 | 手回し充電式がおすすめ |
| 救急セット | 1セット | 常備薬も含む |
備蓄数量の計算シート
従業員数を入れるだけで必要量がわかる簡易計算表です。
| 品目 | 計算式 | 50人の場合 |
|---|---|---|
| 飲料水 | 人数 × 9L | 450L(2L×225本) |
| アルファ米 | 人数 × 6食 | 300食 |
| 缶詰パン | 人数 × 3食 | 150食 |
| 缶詰 | 人数 × 3缶 | 150缶 |
| 乾燥野菜 | 人数 × 9袋 | 450袋 |
| 簡易トイレ | 人数 × 15回 | 750回分 |
備蓄場所の確保と管理
分散保管のすすめ
1か所にまとめると、その場所が使えなくなった場合に全滅します。最低2か所に分散保管するのが基本です。
- メイン: 倉庫・備蓄室
- サブ: 各フロアのロッカー裏・給湯室
管理のポイント
- 年1回の棚卸し(防災月間の9月がおすすめ)
- 賞味期限管理表をExcelで作成
- 期限が近いものは社内配布・防災訓練で消費
- 乾燥野菜はローリングストック方式で日常消費が最効率
よくある質問
Q1: 備蓄は何日分が適切ですか?
内閣府の最低推奨は3日分ですが、南海トラフ地震など大規模災害を想定する場合は1週間分が理想と言われています。まずは3日分を確実に揃えて、余裕があれば1週間分に拡充しましょう。
Q2: 備蓄食品の費用は1人あたりいくらですか?
3日分で約3,000〜5,000円が目安です。5年保存の食品を選べば年間コストは1人600〜1,000円程度。ローリングストック方式の乾燥野菜は福利厚生費で処理できるため、備蓄専用費としてはさらに低く抑えられます。
Q3: テナントオフィスでも備蓄は必要ですか?
はい。ビル全体で備蓄がある場合もありますが、入居企業ごとの備蓄も推奨されています。特に食品は個人の好みやアレルギーに配慮が必要なため、自社で用意しておくのが安心です。
Q4: 備蓄食品にアレルギー対応は必要ですか?
従業員にアレルギーがある場合は対応品を用意しておくべきです。乾燥野菜は原材料が野菜のみのものが多く、主要アレルゲン(小麦・卵・乳等)を含まない製品が多いため、アレルギー対応食品としても優秀です。
Q5: 備蓄の法的義務はありますか?
法的義務は原則ありませんが、東京都では「帰宅困難者対策条例」で事業者に3日分の備蓄が努力義務として定められています。その他の地域でも、BCP策定のガイドラインで備蓄が推奨されています。
