規格外野菜の宅配サービス「ロスヘル」が、日本郵便と提携して全国の郵便局で販売を始めた。身近な郵便局がフードロス削減の新たな接点になりつつある。
日本郵便が規格外野菜の販路に
2026年1月19日、エクネス株式会社が運営する規格外野菜の宅配サービス「ロスヘル」が日本郵便との提携を正式に開始した。全国の郵便局店頭と郵便局のECサイトで、ロスヘルの規格外野菜商品が購入できるようになる。
規格外野菜とは、傷や変形など見た目の理由で出荷できないとみなされた野菜のこと。味や栄養に問題はないにもかかわらず、廃棄されてきた。ロスヘルはこうした野菜を全国の農家から集め、一般小売価格より最大30%安い価格で消費者に届けるサービスだ。2022年のサービス開始から出荷総数1万箱以上を突破している。
なぜ郵便局なのか 全国2万4千局の流通力
今回の提携で注目すべき点は「郵便局」を選んだことだ。日本全国に約2万4千局ある郵便局は、都市部だけでなく山間部や離島にもある。スーパーやコンビニが少ない地域でも、郵便局は日常生活に根ざした存在だ。
ロスヘルがシニア世代を含む幅広い層へのリーチを狙っているのは明確で、これまでECに馴染みが薄かった消費者層に規格外野菜の存在を知ってもらう大きなきっかけになりうる。農林水産省のデータでは、日本の食品ロスは年間約472万トン(2022年度)。国民一人あたり毎日おにぎり1個分相当を捨てている計算になる。郵便局という日常的な接点がこの問題の認知を広げる効果は小さくない。
規格外野菜の加工活用という選択肢
ロスヘルと日本郵便の提携は、規格外野菜の「流通ルートの多様化」という点で食品加工業界にも示唆を与える。規格外野菜はそのまま販売するには見た目の壁があるが、乾燥・粉末加工を施せば形や大きさは関係なくなる。サイズが揃わない野菜でも、野菜パウダーや乾燥野菜として加工すれば均質な製品になるからだ。
乾燥に向かない野菜への工夫や、規格外野菜とフードロスの関係性については別の記事でも触れているが、農家から規格外品を仕入れ加工して商品化するモデルはすでに実用段階に入っている。消費者の意識が「見た目より価値」にシフトする今、食品OEM市場の動向と重ね合わせると、規格外素材を活かした商品開発のニーズは今後さらに高まっていくと見られる。
