2025年6月、環境省が令和5年度(2023年度)の食品ロス発生量を公表した。総量は約464万トンで、前年度(472万トン)から8万トン減少し、推計開始以来の最少を更新した。事業系が約231万トン、家庭系が約233万トンと、初めて事業系が家庭系を下回った。
削減が加速した背景
事業系食品ロスの削減を牽引したのは、流通・外食・製造の三分野での取り組みだ。コンビニ大手による値引き販売の拡大、外食チェーンの小盛りメニュー定着、食品メーカーによる賞味期限延長が重なった。特に製造段階での製造ロス低減が顕著で、規格外品を原料として活用する動きが広がっている。
政府目標は「2000年度比で2030年度までに事業系60%削減・家庭系半減」。2000年度の食品ロスは約1,000万トンとされており、現在の464万トンはおよそ半減水準に達した。ただし目標年度まで残り4年で、達成するには年間約30万トンのペースで削減を続ける必要がある。
規格外野菜の有効活用が削減に直結
農業生産段階では、形や大きさが規格に満たない野菜が年間約200万トン廃棄されると推計される。この規格外品を乾燥・パウダー加工することで、廃棄ゼロに近い状態で食品原料として流通させることが可能になる。
規格外野菜とフードロスの関係性|解決策と取り組み事例でも解説しているとおり、規格外品の活用は単なるコスト削減にとどまらず、農家の収入安定・廃棄処理費用の削減・CO₂排出量低下という多重効果をもたらす。
乾燥加工は規格外野菜の活用手段として特に有効だ。水分を除去することで重量が1/10前後に減り、常温流通・長期保存が可能になる。乾燥野菜の作り方とは?製造の流れと”乾燥に向かない野菜”への工夫を解説でも詳しく紹介しているが、形が不揃いであっても乾燥工程では問題にならず、むしろパウダー加工の場合は形状がまったく問われない。
食品メーカーに求められる次の一手
食品ロス削減が社会的命題となる中、食品メーカーには「廃棄を出さない製造体制」と「廃棄原料を受け入れる仕組み」の両面が求められる。原料調達の段階から規格外品・未利用品を積極的に取り込む企業ほど、原料コストの削減と脱炭素対応を同時に実現できる。
具体的には、規格外野菜をパウダー化してサプリメントや調味料の原料に転換する手法が注目されている。野菜嫌いも解決!毎日続けられる野菜パウダー商品化アイデア3選でも触れているが、野菜パウダーは食品・飲料・菓子など幅広いカテゴリへの展開が可能で、OEM商品としての需要も高まっている。
また、注目のアップサイクル食品ブランド|持続可能な選択が示すように、廃棄予定品を新たな商品に転換する「アップサイクル」の概念はすでにブランディングの軸にもなっている。消費者のサステナブル志向が強まる中、原材料の由来を開示したアップサイクル商品は差別化の武器になる。
2030年目標達成に向けた産業全体の動き
環境省は今後、食品事業者への報告義務の強化と、消費者への啓発活動を並行して進める方針を示している。製造・流通・外食の各業種において、データに基づいたロス管理が標準になる日は近い。
食品メーカーにとって、フードロス削減の取り組みは単なるコンプライアンスではなく、調達コスト削減と商品開発の両面で事業機会を生む領域になっている。規格外原料の受け入れ体制を整え、加工技術でバリューアップする戦略は、今後の食品OEM市場でも重要な差別化要因になるだろう。
