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消費者庁が食品ロス削減第2次方針を閣議決定 — 2030年目標を50%から60%に引き上げ、追加削減20万トンへ

消費者庁は2025年3月25日、「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針(第2次)」を閣議決定した。2030年度までに事業系食品ロスを2000年度比で60%削減するという新目標を掲げ、従来の50%削減目標から一段と引き上げた。食品ロス削減・食品寄附促進・食品アクセス確保の3施策を「食の環プロジェクト」として一元化し、官民連携による取り組みを加速する。

目次

第2次基本方針の概要:第1次との違い

第1次基本方針(2019年度〜)では、2030年度までに食品ロスを2000年度比で半減(50%削減)することを目標に掲げていた。しかし、日本全体の取り組みが予想を大幅に上回るペースで進み、第1次の半減目標を8年前倒しで達成するめどが立った。

これを受けて策定された第2次基本方針(令和7年度〜令和11年度 / 2025〜2029年度)では、目標を60%削減に引き上げ、追加の削減量として約20万トンを新たに設定した。また、消費者の「食品ロスの認知・行動率」を現在の74.9%から80%へ引き上げる数値目標も盛り込まれた。

2030年60%削減目標の意味と積み上げ量

日本の令和5年度(2023年度)食品ロス総量は約464万トンで、前年度比8万トンの減少となり過去最少を更新した。内訳は家庭系約233万トン、事業系約231万トンとほぼ二分されている(参考:食品ロス464万トンで過去最少|事業系が初めて家庭系を下回る)。

第2次方針が掲げる「60%削減」は2000年度比であり、基準年の事業系食品ロスはおよそ550万トン規模とされる。現状の231万トンからさらに20万トン程度を削り、2030年度末までに約210万トン以下まで抑制することが求められる。目標達成には年間平均で2〜3万トン規模の継続的削減が必要であり、事業者・消費者双方の行動変容が欠かせない。

「食の環プロジェクト」3施策とは

第2次基本方針の中核となるのが「食の環プロジェクト」だ。従来は縦割りで運営されていた次の3つの施策を一本化し、相乗効果を高める仕組みを整える。

施策 内容
食品ロス削減 製造・流通・小売・消費の各段階での廃棄抑制
食品寄附促進 フードバンクや子ども食堂への余剰食品の流通拡大
食品アクセス確保 経済的困窮世帯や地方の食料調達格差の是正

3施策を一元化することで、「捨てない→寄附する→届ける」という循環の流れを制度的に後押しする。消費者・事業者・行政が同じプラットフォームの下で動くことで、個別施策では得られなかった波及効果が期待されている。

現在の食品ロス実態:464万トンの内訳

環境省・農林水産省が2025年に公表した令和5年度推計値によれば、日本の食品ロス総量は464万トン。内訳は家庭系233万トン・事業系231万トンで、事業系が初めて家庭系を下回った。事業系の内訳では、食品製造業・食品卸売業・食品小売業・外食産業の4分野が対象となる。

事業系削減が家庭系を上回った背景には、コンビニや外食チェーンによる発注精度の向上、フードロスアプリの普及、食品メーカーによる「3分の1ルール」の緩和などが挙げられる。一方、家庭系は「食べ残し」「直接廃棄」「過剰除去」という3つの要因が複合的に絡み合い、なかなか削減が進まない状況が続いている。

乾燥野菜・加工食品がフードロス削減に果たせる役割

食品ロス削減の実効性を高める手段として、近年注目されているのが乾燥野菜・フリーズドライ野菜などの加工食品だ。生鮮野菜と比較した場合の優位性は主に3点ある。

  • 長期保存性:常温で数ヶ月〜数年単位の保存が可能で、家庭での食べ残し・廃棄が発生しにくい
  • 規格外野菜の活用:形が不揃いで市場に出回りにくい野菜も乾燥加工することで商品化でき、農産物ロスを川上から抑制できる(参考:規格外野菜をパウダー化するupvegeが示すアップサイクルの新潮流
  • 廃棄ゼロ設計:必要量だけ使用できるため、使い切れずに廃棄するリスクが極めて低い

食品メーカーがOEM・PBで乾燥野菜ラインを拡充することは、自社の食品ロス率改善と同時に、取引先の廃棄コスト削減にも直結する。第2次基本方針が掲げる「事業系60%削減」という高い目標に応えるためにも、こうした加工技術の活用は戦略的な選択肢となる。

事業者・消費者それぞれに求められる行動変容

第2次基本方針では、事業者・消費者のそれぞれに対して具体的な行動変容を求めている。

事業者への要請:需要予測の精度向上による過剰製造の抑制、賞味期限の年月表示化・期限延長、余剰品のフードバンクへの提供体制整備、包装小口化による少量売りの推進。

消費者への要請:買い物前の冷蔵庫チェック習慣、「てまえどり」(手前の商品から取る行動)の定着、外食時の食べきり宣言、食品ロス削減の認知・行動率を74.9%→80%に引き上げる意識改革。

食品ロスは環境負荷だけでなく食料安全保障の問題でもある。政策目標の引き上げを受け、事業者には今こそサプライチェーン全体を見直す好機が到来している。

出典:消費者庁「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針(第2次)」閣議決定(2025年3月25日)/販売士ドットコム

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この記事を書いた人

小島 怜のアバター 小島 怜 Agriture CEO
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